生活習慣で「自分でできた!」をどう増やす?『ベビーブック7・8月合併号』育児特集番外編Q&A


片づけや食事、手洗いなどの生活習慣を身につけていくために、今できること、やるべきことは何でしょうか。一日の生活のさまざまなシーンの悩みについて保育園の園長が答えます。

Q.1 私自身、片づけが苦手です。子どもには片づけ上手になってほしいのですが、私も苦手なので部屋が散らかりがちです。どうすればいいでしょうか?(2歳6か月 男の子)

Q.2 自分で食べてほしいのですが、スプーンは投げる、食べ物はぐちゃぐちゃににぎったり下に落としたりとなかなかうまくいかず、結局私が食べさせています。どうすれば自分で食べるようになりますか?(1歳10か月)

Q.3 保育園では自分でも片づけをするようですが、家ではやりません。家でも自分で片づけるようにするにはどうすればいいでしょうか?(2歳3か月)

Q.4 帰宅時に手を洗おうとすると水遊びを始めてしまいます。スムーズに手洗いだけするにはどうすればいいですか?(1歳8か月)

Q.5 寝る前に一緒におもちゃのお片づけをしようとすると、おもちゃで遊び始めてしまいます。「もう遊びは終わりね。ねんねする前にお片づけしようね」と言っても、遊んでしまいます。どうすれば一緒にお片づけできますか?(2歳4か月)

Q.6 寝かしつけのとき、ママじゃないと嫌がります。どうしたらパパと寝てくれるようになりますか?(2歳1か月)

Q.1 私自身、片づけが苦手です。子どもには片づけ上手になってほしいのですが、私も苦手なので部屋が散らかりがちです。どうすればいいでしょうか?(2歳6か月 男の子)

A.

おうちの人が嫌だ、面倒だと思っていると子どももそう考えるようになりますし、片づけを「やらなくてもいいもの」と捉えていると、子どもも散らかっているのが当たり前だ、という価値観になってしまいます。とはいえ、苦手なものを楽しく取り組むのは難しいものですね。「ママは苦手なんだけど、あなたにはお片づけできるようになってほしいんだ」と、おうちの人の素直な気持ちをお子さんに話してみるといいでしょう。

その上で、家の中全部を整えておくのが難しいなら、「ここだけはきれいにしておく部屋」など範囲を決めて、親子で無理なくがんばれるスペースを作ってみるといいでしょう。

Q.2 自分で食べてほしいのですが、スプーンは投げる、食べ物はぐちゃぐちゃににぎったり下に落としたりとなかなかうまくいかず、結局私が食べさせています。どうすれば自分で食べるようになりますか?(1歳10か月)

A.

子どもが食べ物をぐちゃぐちゃに握るのは、熱さはどの程度なのか、どのくらいの硬さなのかなどを研究しているから。これは、自分で食べられるようになるために必要な過程です。頭ごなしにやめさせるのではなく、「手づかみで食べるもの」と「おうちの人が食べさせるもの」を使い分けながら少しずつ練習していくといいでしょう。
食べ物やスプーンを投げるのは、「投げる」という行動をやりたい気持ちがあるからです。「ポイポイしたいんだね」とまずは寄り添い、「でもスプーンはポイポイしてほしくないな」とルールを伝えてから、「食べ終わったらこのボールをポイポイして遊ぼうか!」と他の選択肢を提示してみるといいでしょう。

Q.3 保育園では自分でも片づけをするようですが、家ではやりません。家でも自分で片づけるようにするにはどうすればいいでしょうか?(2歳3か月)

A.

保育園では「当たり前に片づける」という環境が整っているので、自分でも片づけをしているのかもしれません。おうちでも、片づいている状態が続くよう心がけましょう。ただし、2歳3か月のお子さんがすべてを自分で片づけるのは不可能です。片づけるものが多すぎると、途中で集中が切れて嫌になってきます。そんな中で「最後まで全部片づけようよ」と言われると、片づけが苦行になり大嫌いになってしまう可能性もあります。そのため、8~9割はおうちの人が片づけてOK。おもちゃ1個でも片づけてくれたら、終わった後に「ほら、きれいになって気持ちいいね!」と片づけた喜びを共に分かち合うといいでしょう。

Q.4 帰宅時に手を洗おうとすると水遊びを始めてしまいます。スムーズに手洗いだけするにはどうすればいいですか?(1歳8か月)

A.

手を洗うときに水を触っていると楽しくなってきて、遊び始めてしまうことはよくあります。そんなときは、「おててキレイになったらおやつ食べようね」「洗い終わったら積み木で遊ぼうね」など、手を洗った後に魅力的なことが待っているとわかる声をかけてみましょう。
それでももっと水遊びがしたいと主張するなら、そのまま水遊びにしてしまってもいいかもしれません。もし洗面台で遊んでほしくない場合は、「ここではやめてね」と頭ごなしに言うのではなく、まずは「もっと水遊びがしたいんだね。それならベランダでやろうか」と「やってもいい」ということを先に伝えましょう。それから、「洗面台は床が濡れちゃうから、ここではやってほしくないんだ」とルールを伝えるといいでしょう。

Q.5 寝る前に一緒におもちゃのお片づけをしようとすると、おもちゃで遊び始めてしまいます。「もう遊びは終わりね。ねんねする前にお片づけしようね」と言っても、遊んでしまいます。どうすれば一緒にお片づけできますか?(2歳4か月)

A.

おもちゃがあると遊びたくなってしまいますよね。大人が考える「終わるタイミング」で終わりなさいというのは難しいので、子どもが終わろうと思うきっかけを作るようにしてみましょう。
まず、子どもが遊んでいる間に、今遊んでいるもの以外は先に大人が全部片づけておきます。これが「片づけの下準備」です。それから、キリがいいところやキリがよくなりそうなところを見計らって、「それが終わったらお片づけしようか」と声をかけます(例えばおままごとなら、ご飯の準備ができてごちそうさましたら片づけようか、など)。今使っているものを片づけるだけなので、スムーズに片づけに移行できるでしょう。
ただし、今日上手くいったことが明日は効かない、ということもあるので、いろいろと引き出しの手数を持っておくといいですね。

Q.6 寝かしつけのとき、ママじゃないと嫌がります。どうしたらパパと寝てくれるようになりますか?(2歳1か月)

A.

ママではないと寝られないというのは、「この人だったら安心できる」ということの表れであり、ママとの信頼関係を築けているという証です。パパとも信頼関係を築けていたとしても、より強く信頼している人がそばにいるとしたら、その人を求めるのは仕方がないことなのです。ですので、この時期はあまり無理をする必要はありません。
どうしてもパパと寝なければならないという事情がある場合は、寝かしつけのときママは外出したり別の部屋に行くなどして、「ママはいない」という環境を作りましょう。子どもは泣くかもしれませんが、「今日はパパなんだ」と諦めてもらうことも必要です。泣きながらも「パパでも寝られた」という経験を何度か繰り返すことで、パパとの信頼関係が築かれていき、パパとも寝られるようになってくるでしょう。

 

菊地奈津美先生
保育士。こどもの王国保育園西池袋園園長。子どもや子育てに優しい社会をつくることを目標に、YouTubeチャンネル「保育士ちょび園長の保育・子育て応援TV」で情報を発信している。

イラスト/ひらのゆきこ 文/洪 愛舜 構成/童夢

子どもの「自分でやりたい!」気持ちに寄り添いながら、できることを増やしていくことは、自立の第一歩です。『ベビーブック』2022年7・8月号「もっとベビーブックwith HugKum」では、生活習慣を身につけるための環境づくりや声かけ、そしてイヤイヤ対策も詳しく解説しています!

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