気になるわが子の発達、親はどうしたらいい?『ベビーブック9月号』育児特集番外編Q&A

子どもと過ごしていると、できることが少しずつ増える喜びを感じるときもあれば、まだできないことが気になってしまうこともありますよね。発達の悩みについて、小児科の先生に伺いました。

Q.1 生まれたときから体がとても小さくて、成長曲線の一番下のほうです。何か問題はありますか?(1歳10か月)

Q.2 言葉を全然話しません。同じくらいの年齢の子が親子で会話が成立しているのを見ると、うちの子は大丈夫だろうかと不安になってしまいます。(2歳5か月)

Q.3 幼児教室に通っているのですが、落ち着かず座っていることがほとんどありません。先生の話も全然聞いておらず、他の保護者の人に「発達障害じゃないの?」と言われて落ち込みました。検査などしてもらったほうがいいのでしょうか?(2歳6か月)

Q.4 1歳半健診に行く前に何か準備をしたほうがいいことはありますか?(1歳5か月)

Q.5 同じくらいの年齢のお友だちの子どもと遊びに行っても、ずっと一人で遊んでいます。内向的な性格なのでしょうか?(2歳4か月)

Q.6 新型コロナ感染予防のために、周りの大人がずっとマスクをつけて生活していることは、この子の発達に何か影響があるのでしょうか?(2歳7か月)

Q.1 生まれたときから体がとても小さくて、成長曲線の一番下のほうです。何か問題はありますか?(1歳10か月)

A.

成長曲線のグラフは、「真ん中の線だけが正常で上下に行くほど異常」と誤解されることも多いのですが、そうではありません。グラフにある7本の線全てが「正常値」です。ですので、7本のうちのどれかのラインの傾きに沿っていれば何の問題もありません。グラフの線を2本以上またいでしまったときは、注意が必要です。何らかの疾患である可能性もあるので、まずは小児科医に相談しましょう。

Q.2 言葉を全然話しません。同じくらいの年齢の子が親子で会話が成立しているのを見ると、うちの子は大丈夫だろうかと不安になってしまいます。(2歳5か月)

A.

「言葉を話さない」以外に心配事があるかどうかがポイントです。言葉は出ないけどこちらの言っていることは理解している様子が見て取れるなら、知能の発達に問題はないので、いつか必ず言葉は出てきます。遅いと5、6歳から7歳ごろになる子もいますが、大きな心配はありません。
目が合わない、おうちの人が喜んだり悲しんだりしていても関心がなく表情が読み取れないなど、意思の疎通が図れていないように感じられる場合は、小児科もしくは小児神経の専門医に一度相談してみてはいかがしょうか。

Q.3 幼児教室に通っているのですが、落ち着かず座っていることがほとんどありません。先生の話も全然聞いておらず、他の保護者の人に「発達障害じゃないの?」と言われて落ち込みました。検査などしてもらったほうがいいのでしょうか?(2歳6か月)

A.

2歳のお子さんが教室で落ち着かない、というだけでは診断できません。おうちの方が気にかかっていることをスコアとしてつけていただくアンケート調査を実施することもありますが、それは「おうちと教室」「おうちと園」など、2か所以上の場所で同じことが問題になっているときに行うものです。教室だけ、あの先生のときだけ落ち着きがない、というのであれば、不安になる必要はありません。
最近「発達障害」や「ADHD」などの言葉が一人歩きをし、安易に使われがちですが、診断もなく軽々しく病名を口にするのは大変失礼なことです。専門家ではない人から言われたとしても、もし心当たりがないのであれば気にしないでおきましょう。

Q.4 1歳半健診に行く前に何か準備をしたほうがいいことはありますか?(1歳5か月)

A.

健診に用意するのは母子手帳だけ。練習などは全く必要ありません。1歳半健診で確認する項目は全て、発達に伴って自然とできるようになることばかりです。「それが自然にできるかどうか」を確認するのが1歳半健診の目的です。事前に練習しても意味がありません。
乳幼児健診は子どもの成長や発達を見る場であると同時に、おうちの方が心配事を相談する場でもあります。気にかかることや不安なことがあれば日ごろからメモしておいて、何でも遠慮なく聞いてみるといいでしょう。

Q.5 同じくらいの年齢のお友だちの子どもと遊びに行っても、ずっと一人で遊んでいます。内向的な性格なのでしょうか?(2歳4か月)

A.

2歳ごろの子どもは、一見友だちと遊んでいるように見えてもただ一緒に遊んでいるだけで、社会性が求められたりルールが存在するわけではありません。対人コミュニケーションの基本は親子関係なので、おうちの方の感情を感じ取ったりコミュニケーションに関心を持っていたりするのであれば、気にする必要はないでしょう。
また、大きくなっても一人遊びが好きな子はたくさんいます。一人だから孤独でさみしい、と思うことはありません。一人で熱中して黙々と遊べるというのは、いい個性だと僕は思います。

Q.6 新型コロナ感染予防のために、周りの大人がずっとマスクをつけて生活していることは、この子の発達に何か影響があるのでしょうか?(2歳7か月)

A.

これは現時点では「わからない」と言うしかありません。園の先生や道行く大人の大半がマスクをしていることが子どもの発達にどんな影響を及ぼすのか、何とも言えないところです。
確かに顔の表情の特に大事な部分が見えないというのはあまりいいことではありませんが、自宅でおうちの方と接するときにはマスクをしていない時間がほとんどだと思いますので、大きな問題はないのではないかと僕は考えています。
また、最近発表された論文によると、マスクをしているドクターの喜怒哀楽を、子どもたちはかなり読み取っているということがわかっています。たとえマスクをしていても、優しい気持ちは大人が思っているよりも子どもに伝わっているようです。もしかすると今この時代に育った子どもたちは、将来目だけを見て感情を読み取れる力に優れている、なんてことがあるかもしれませんね。いずれにせよ、マスクをしているからといって手を抜かず、目を含めた顔全体で「かわいいね」「大好きだよ」というメッセージを伝え続ければ、問題はないでしょう。

 

高橋孝雄先生
應義塾大学医学部教授。医学博士。専門は小児科一般と小児神経。日本小児科学会前会長、日本小児神経学会前理事長。著書に『小児科医のぼくが伝えたい 最高の子育て』(マガジンハウス)など。

イラスト/くわざわゆうこ 文/洪 愛舜 構成/童夢

発達には個人差がありますが、どんな順序でできるようになるかはおおむね決まっています。『ベビーブック』2022年9月号「もっとベビーブックwith HugKum」では、1~3歳の心と体の発達の流れを紹介しています。お子さんができるようになった日付が書き込めるので、成長の記録としてぜひご活用ください!

育児特集 番外編Q&A【もっと教えて、先生!】全記事リストはこちら

 

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