いい歯・強い歯を育てるためにできることは?『ベビーブック10・11月合併号』育児特集番外編Q&A

乳歯がむし歯になることなく、しっかりした永久歯に生え変わることができるようにするには、どのような点に気をつければよいのでしょうか。1・2・3歳の歯のケアや歯並び、歯に関するトラブルなどのお悩みに、小児歯科の医師がお答えします。

Q.1 子どものむし歯を家庭でチェックできる方法はありますか?

Q.2 歯やあごを強くするためによい食べものはありますか? カルシウムは多くとったほうがよいのでしょうか?

Q.3 歯科健診は何歳ごろから、どれくらいの頻度で受けるとよいですか?

Q.4 転んで歯をぶつけてしまったときは、歯科に連れて行ったほうがよいのでしょうか?

Q.5 お友だちの家に遊びに行くと甘いお菓子を出されることが多く、むし歯にならないか心配です。

Q.6 歯並びをよくするために、意識するとよいことはありますか?

Q.1 子どものむし歯を家庭でチェックできる方法はありますか?

 

A.

仕上げみがきの際に、スマホのライトで子どもの口の中を照らしてみて、歯の色が変色しているところがないかをよく観察してみましょう。むし歯の初期は白く変色することもあるため、他の歯と違う色になっている部分があれば、小児歯科の受診をおすすめします。歯と歯の間にすき間がない箇所はデンタルフロスでお手入れすることを習慣にしていると、むし歯ができている場合はデンタルフロスが途中で引っかかったり、切れたりすることがあり、早期発見につながりやすくなります。

Q.2 歯やあごを強くするためによい食べものはありますか? カルシウムは多くとったほうがよいのでしょうか?

歯の表面を作っている主な栄養素はカルシウムですが、その土台はたんぱく質でできています。カルシウム源となる食品としては、乳製品や小魚、小松菜などの野菜類、ひじきなどの海藻類といったものが挙げられ、これらを魚・肉・卵・大豆製品などの良質なたんぱく質と一緒にバランスよく摂取すれば、丈夫な歯を作ることができます。カルシウムやたんぱく質が体内でうまく働くためには、ビタミンA、C、Dが必要なので、乳幼児期から栄養バランスのよい食事を心がけることがよい歯を育てるといえます。
歯の再石灰化(唾液中のカルシウムが歯のエナメル質を修復すること)を促し、なおかつ、丈夫な永久歯を作っていけるようにするには、乳幼児期に十分な量のカルシウムを摂取することが重要です。ただし、サプリメントの使用は過剰摂取につながるおそれもあるため、まずは通常の食事の中でカルシウムを含む食品をしっかり摂取することを心がけましょう。

Q.3 歯科健診は何歳ごろから、どれくらいの頻度で受けるとよいですか?

A.

歯が生え始める生後6か月ごろからの小児歯科デビューがおすすめです。むし歯がない未病の状態で受診し、歯科の雰囲気に慣れていきましょう。乳幼児は日々、成長とともに口の中の様子が変化していきます。3~4か月ごとに定期的に受診することで、健康な口内環境を保つようにしましょう。歯の生え方や歯の色など、気になる点がある場合は、次回の定期健診前であっても、かかりつけの小児歯科へ受診の相談をしてみることをおすすめします。

Q.4 転んで歯をぶつけてしまったときは、歯科に連れて行ったほうがよいのでしょうか?

A.

歯のことが気になるとは思いますが、まずは頭部外傷がないかを今一度、確認してみましょう。おうちの方がパニックになり、頭部をぶつけたことを見過ごしてしまうのは大変危険です。頭部をぶつけている場合は脳神経外科を念のため受診し、異常がないことを確認したうえで歯科を受診してください。
外傷時、唇や舌を切っていて10分程度の止血をしても口腔内で噴き出すような出血が止まらない場合は、形成外科を受診しましょう。歯が抜け落ちて、抜けた歯が手元にある場合は、牛乳(牛乳アレルギーがない人のみ)または生理食塩水につけるか、乾燥させないようにラップでくるみ、できるだけ早く歯科を受診してください。

家に遊びに行くと甘いお菓子を出されることが多く、むし歯にならないか心配です。

A.

お友だちの家でお菓子が出された場合、どれをどのくらい取って食べるかということまでは、おうちの方としても目が届きにくいことでしょう。だからといって、毎回のように甘いお菓子を食べていたら、むし歯になってしまう可能性も考えられます。そうならないようにするには、保護者同士でお菓子の与え方について一度話し合いをしてみるとよいでしょう。状況によっては、「いつもお菓子を用意してくれてありがとう。むし歯が心配だから、今日は持ってきたお菓子を食べるね」と、さりげなくお断りする勇気も大切にしてほしいと思います。

Q.6 歯並びをよくするために、意識するとよいことはありますか?

歯は体の一部なので、歯並びをよくするためには全身のバランスを意識することが大切です。例えば、足の指をしっかり広げて立つことが習慣になっていれば、足の筋肉だけではなく全身の筋肉のバランスが整い、顔周辺の筋肉も発達してあごをしっかり支えられるようになるので、歯並びにもよい影響が期待できます。
また、「お口ポカン」の状態での口呼吸、頬杖をつくといった子ども本人の癖が歯並びに影響を与えることもあります。歯並びに関して知りたいことや、子どもの姿勢や癖に関して気になることがあれば、小児歯科での健診の際などに遠慮なく相談してみましょう。

 

伊藤織恵先生
こどもの歯科院長。東京医科歯科大学小児歯科学研究室を経て開業。歯並びに影響を及ぼす可能性がある足指の育成などに関するアドバイスも行う。3児の母。

イラスト/こやまもえ 文/安永美穂 構成/KANADEL

いい歯・強い歯を育てるには、仕上げみがきのほかにも習慣化しておくとよいことがあります。『ベビーブック』2023年10・11月合併号「もっとベビーブックwith HugKum」では、1・2・3歳の歯を強くする4つの習慣について詳しく解説しています!

育児特集 番外編Q&A【もっと教えて、先生!】全記事リストはこちら

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