子育ての不安が軽くなる、「がんばり過ぎない」コツを紹介! 『ベビーブック12・1月号』育児特集番外編Q&A

子育ては喜びがあると同時に、イライラしたり、辛くなってしまったり、不安も尽きないものです。1~3歳児を育てる「今」の悩みに、児童精神科医がアドバイスします。

Q.1 よい怒り方がわかりません。子どもに注意したいときはどういう言い方がよいでしょうか?

Q.2 2歳6か月です。子どもの育ちに不安を覚えてしまいます。例えば、周りの子はもう親子で会話ができているのにうちはまだ言葉を話しません。

Q.3 実家が遠く、夫も多忙で不在がちで、育児を頼れる人がいません。自分も逃げ出してしまいたくなるときがあります。

Q4. 子育てはいつか楽になるのでしょうか?

Q5. 子どもの将来のために、親として今やっておくべきことはありますか?

Q6. 幼児期は、言葉が通じないので子どもの気持ちがわからず、自分の子育てに不安を感じてしまいます。

Q.1 よい怒り方がわかりません。子どもに注意したいときはどういう言い方がよいでしょうか?

A.

子どもに注意する際は、一方的に親が正しいという前提で語らないことが重要です。「私が正しいから言う通りにしなさい」という態度は、子どもの自己決定権を奪い、コントロールされる関係を生み出してしまいます。代わりに、親の意見を一つの意見として伝え、子ども自身に考えさせることが大切です。

また、自分を主語にする「I(アイ)メッセージ」を使い、「こうしてくれるとうれしい」と伝えることで、子どもの行動は変化しやすくなります。最終的には子ども自身が行動を決定できるように、親は子どもの選択を信じ、支援する姿勢が重要です。叱ることも大切ですが、それは子どもの成長を促し、自己決定を助けるためのものであるよう心がけるといいでしょう。

Q2.  2歳6か月です。子どもの育ちに不安を覚えてしまいます。例えば、周りの子はもう親子で会話ができているのにうちはまだ言葉を話しません。

A.

実は、子育ての不安は、どこからどこまでが親の不安で、どこからどこまでが子どもへの不安なのかを分けて考えることが大切です。何が不安なのか、はっきりと言語化してみましょう。それだけで多くの不安は軽減されるものです。

2歳半で言葉が出ないことは遅めと言えますが、必ずしも深刻な問題とは限りません。言葉の遅れは、必ずしも将来の可能性を制限するものではありません。まずは保健所に相談し、発達の専門家に診察を受けてみましょう。専門家に相談することで、必要に応じて言語訓練などのサポートを受けられます。その子の中でゆっくりでも成長していれば、それをしっかりと喜んであげるのも大事なことです。

Q3. 実家が遠く、夫も多忙で不在がちで、育児を頼れる人がいません。自分も逃げ出してしまいたくなるときがあります。

A.

一人で抱え込まずに、使えるものは何でも使い、頼れる人は誰でも頼りましょう。ベビーシッターを頼んだり、一時保育に預けたりするなど、さまざまな支援を活用することが大切です。

自治体によってはファミリーサポートやベビーシッターの利用に補助金を使える制度もあるので、保健所や自治体の子育て支援窓口に相談し、利用可能な支援を探してみましょう。

また、地域の子育て支援センターや子育てコミュニティに参加し、ママ友を作ることで、精神的な負担を軽減できます。

逃げ出したくなる気持ちは決して悪いことではなく、子育ての大変さを示すものです。一人で抱え込まず、周囲のサポートを積極的に求めてくださいね。

Q4. 子育てはいつか楽になるのでしょうか?

A.

子育ては必ず楽になります。特に1歳から3歳の時期は、身体的・体力的な負担が大きく、睡眠や食事など日常生活が制限されると同時に、言葉が通じないことによるストレスが最も高い時期です。

しかし、言葉が通じるようになると、相互理解が深まり育児の大変さは軽減されます。子どもの成長段階によって異なる課題が生まれるため、完全に楽になるわけではありませんが、子どもとともに親も成長していくプロセスであることを理解し、その時期ならではの子育てを楽しんでくださいね。

 

Q5. 子どもの将来のために、親として今やっておくべきことはありますか?

A.

 子どもの将来のために最も重要なのは、生きる安心感を与えることです。早期教育や特別な学習に走るのではなく、親自身が人生を楽しむことが大切です。

子どもは親の姿を通じて、生きることの喜びや幸せを学びます。不安に満ちた子育ては、子どもにも不安を与えてしまうため、親が前向きで幸せな姿を見せることが最大の教育となります。

周りの人々と良好な関係を築き、生きることの楽しさを体現することで、子どもは自然と人生の豊かさを学びます。完璧を目指すのではなく、親も子どもとともに成長し、愛情と喜びに満ちた環境を作ることが、子どもの将来への最高の贈り物なのです。

Q6. 幼児期は、言葉が通じないので子どもの気持ちがわからず、自分の子育てに不安を感じてしまいます。

A.

 子どもは生まれた瞬間から言葉を話せません。ですが、言葉が通じなくても、表情や仕草、笑顔などで十分にコミュニケーションができます。親は子どもの気持ちを100%理解する必要はなく、理解しようと努力することが大切です。

言葉だけでなく、踊ったり遊んだりして子どもと関わり、その瞬間を楽しむことが重要です。子どもの存在を愛おしく思い、今この瞬間を大切にすることで、子どもは安心感を得られます。

完璧な理解や完璧な子育ては不可能であり、それを目指す必要もありません。子どもと一緒に成長し、お互いを理解しようと努力する姿勢こそが、最も大切なのです。

 

精神科医さわ先生(本名 河合佐和)

児童精神科医。精神科専門医、精神保健指定医、公認心理師。塩釜口こころクリニック院長。これまでの延べ5万人以上の親子の診察に携わる。著書に『子どもが本当に思っていること 児童精神科医が「子育てが不安なお母さん」に伝えたい』『「発達ユニークな子」が思っていること』(日本実業出版社)など。

イラスト/坂本直子 文/洪愛舜 構成/KANADEL

子育て中は知らず知らずのうちに「よい親」になろうとがんばってしまうもの。『ベビーブック』12・1月号「&ベビー」では、おうちの方が肩の力を抜いて、自然体でいられるヒントをたくさん紹介しています。


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