
2025年にボローニャ国際ブックフェアで、クロスメディア賞を受賞した韓国の絵本『星のたねまき』。日本語の翻訳出版をきっかけに、作者のハン・ダムヒさんと訳者のすんみさんが、お手紙を交わしあいました。
星の種をまいて育てる、という壮大な空想物語はいったいどこからやってきたのでしょうか。お手紙ならではの打ち明け話、第3回です。
【『星のたねまき』往復書簡③ 翻訳者から、絵本作家へ】
【困難に耐える私なりのやり方を見つけて】
ハン・ダムヒさま
こんにちは。
週末の間、ホヤの花が咲きました。 星の形をしたとても素敵な花ですが、株が小さいうちは蕾をつけないため、この花を見るために何年も待ちました。他の花と違って、うつむくように下を向いて咲くのもこの花の特徴です。まるで「花になった星たち」が、私の庭に降りてきてくれたような嬉しい気持ちになります。
『星のたねまき』の誕生についてお話を聞かせていただき、誠にありがとうございました。トンネルの中のように暗い時間を経て生まれたのがこの本だったのですね。「世界には、私たちのまだ知らない数多くの「星のたねまきさん」がいます」というお言葉に、私自身もとても励まされました。

私は普段、日本語と韓国語の翻訳をしながら日々を過ごしています。しっくりくる言葉がうまく思い浮かばない時は、とても苦しい思いがします。そういう時は、辞書で思いつく限りの単語を片っ端から調べて読むなどして過ごすのですが、ダムヒさんのお手紙を拝見しながら、「これが困難に黙々と耐える私なりのやり方なのかもしれない」と考えさせられました。
『星のたねまき』を翻訳する間は、原書の詩的な表現を日本語でも最大限に活かしたいと考え、何度も言葉を練り直しました。星のたねまきさんがいる場所はどこだろう、ここにも昼と夜はあるのだろうか、ここで星たちの面倒を見ているのは一人だけなのだろうか。ファンタジーとして読者の想像力を掻き立てる物語ではありますが、決して「自分とは遠く離れた世界の出来事」としては読まれてほしくありませんでした。
そのため、できるだけ親しみやすい表現でありながらも、原文の持つ詩的な雰囲気やリズムを壊さない言葉を見つけようと、編集者さんと何度も話し合いを重ねました。ですから、ダムヒさんが世の中にいる「星のたねまきさん」たちを思い浮かべながらこの絵本を作られたと知り、自分の悩みの方向性が間違っていなかったのだと、深く安堵いたしました。
ダムヒさんは、『星のたねまき』の中で一番お気に入りの場面はどこですか。 また、今作がタブレットで描かれた初めての作品だそうですが、普段はどのように絵を描かれていて、今回なぜタブレットを使ってみようと思われたのか、また制作時に注意を払った点などがあれば、ぜひお聞かせいただけると嬉しいです。
いつかダムヒさんと直接お会いできる日を、心より楽しみにしております。
すんみ 拝