不思議と心がほぐれる「お元気部屋」へ、ようこそ!

お元気部屋へようこそ』作/安田夏菜 絵/紙谷俊平 ISBN/ISBN978-4-09-289343-6

A5判・上製・128ページ 定価1540円(税込)

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【あらすじ】

なんでもきちんとしたい、がんばり屋のお咲ちゃん、十歳。通いはじめた小さな寺子屋には、なんとも不思議な「お元気部屋」がありました。心がほぐされ楽しいひとときを過ごしていたある日、お元気部屋に大ピンチが訪れて・・・。最後は、どんでん返しと、ひざを打ちたくなるようなオチが待っている、落語調人情話。

 作者はいま、最注目の児童文学作家の一人である、安田夏菜さん。現代の子ども達を取り巻く様々な社会課題を当事者視点であらわにし、最後には希望を感じられる物語を紡ぎ出す名手です。

 このたび、小学校中学年向けに書き下ろした『お元気部屋へようこそ』は、そのなかではちょっと異色な作品です。江戸時代の寺子屋を舞台にした、くすっと笑えてホロリと泣きそうになるこの物語にこめた思いを伺いました。

『お元気部屋』とは、どんな部屋?

 基本は現代の小学校にもある、「あの部屋」です。

 けがの手当てをしてもらったり、体調が悪いときに休ませてもらったり。心が弱って自分の教室に行くのが辛くなった子どもが、ここに登校してきたりもします。その、寺子屋バージョンを想像して書きました。やさしい先生のスぺシャルケアで、まったりのんびり過ごせるお部屋です。

イラスト/紙谷俊平

 小学校のときの私は、おとなしく繊細な女の子でした。授業中に当てられそうになるだけで、心臓がドキドキっとしたり。友だちの言葉にグッサリと傷ついたり。なので、心が弱ってへとへとになることも多かったです。

 もしも私が、この物語の寺子屋に通う子どもだったら、お元気部屋の常連になりたいと思いそうです。でも、真面目なので病をよそおうこともはばかられ、入口周辺をウロウロしているかもしれません。

物語の舞台は江戸時代。その理由は?

 落語好きで、江戸時代が舞台の古典落語も大好きだからでしょうか。

 落語の中の子どもたちは、たいてい「ちょい悪」で、丁稚なのに仕事をさぼってお芝居を見に行ったり、うまいことを言って小遣いやおやつをせしめたりしながら、生き生きして楽しそうなんです。

 江戸時代といえば、先日、大河ドラマ「べらぼう」で、すごく共感した言葉がありました。

「人は正しく生きるより、楽しく生きたいのです」。これって、時代を超えて通じるものですよね。

イラスト/紙谷俊平

 

 落語というのは落語家さんが、座布団に座って話すだけ。たったひとりで演じているのに、お侍さんに見えたり、きれいな女の人に見えたりします。大道具もなにもないのに、江戸の町が見えたり、深い山奥が見えたりします。それもこれも、見る人の想像力を刺激するから。

 わたしも読者さんの想像力を刺激して、人や景色が見えるように書くことを心がけました。もちろん、紙谷俊平さんの素敵なイラストも、大きな助けとなります。

イラスト/紙谷俊平

 

 本って友だちと同じです。外から見ているだけでは、気が合うかどうかなんてわかりません。新しいクラスメイトと、ちょっと話してみる感じで、何ページか読んでみてください。

 この本は笑えるお話が好きな子や、今ちょっと落ち込んでいて元気を出したい子に合うと思います。

 お咲ちゃんやお静ちゃん、熊五郎やお師匠さまが、あなたの新しい友だちになれますように。

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【著者プロフィール】

安田夏菜(やすだ・かな)
兵庫県在住。児童文学作家。『あしたも、さんかく』で第54回講談社児童文学新人賞佳作入選。第5回上方落語台本募集で入選した創作落語が、天満天神繁昌亭にて口演される。『むこう岸』で第59回日本児童文学者協会賞、貧困ジャーナリズム大賞2019特別賞を受賞、NHKでドラマ化される。『セカイを科学せよ!』は青少年読書感想文全国コンクール課題図書、『6days遭難者たち』はこども家庭庁児童福祉文化賞推薦作品に選定される。

 

 

 

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