“食べ物”は、み~んなつながっている【絵本作家インタビュー】軽部武宏

ペットにえさをあげていたら、異次元に迷い込んで自分がえさになりそうに!? 食べ物のこと、食べること・食べられることを考えるきっかけになる絵本「えさのじかんだよ」。

この絵本を描くきっかけと、「生きもの」「食べ物」について考えていることなどを作家・軽部武宏さんに伺いました。

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ぴっかぴかえほん
『えさの じかんだよ』
作/軽部武宏
2019年7月25日発売・小学館刊

詳細はこちらのページをご覧ください。

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■「食物連鎖」を絵本にしたかった

食物連鎖を書きたいなあ、と思って出来たのがこの絵本です。食べ物のつながりを、わかりやすく本にしたいなと考えていたんですよ。

子どものころから生きものを観察したり、捕まえたり、飼うのが好きでした。

あるとき、ミミズでフナを釣っていました。フナが釣れて、それを引き寄せようとしたら、グ~ッとナマズが来て、目の前でバクッとフナを食べたんですよ。びっくりしました。

また、家でカマキリを飼っていたらえさにコオロギやバッタみたいな生きたえさが必要で、でもそのカマキリも鳥に食べられて、鳥もねこに襲われていたり、という経験がありました。

食物連鎖は身近にある出来事だなと実感しました。

■食べ物は全部つながっている

日本ではあまりありませんが、ゾウにしても人間にしても、大きい生きものも死んだら虫やほかの動物に食べられたりします。食べる、食べられるということは、つながっているのです。

生きものを食べたらかわいそうだ、と考える人がいますよね。でも、自分もえさになるのだ、と考えたらいいんです。

そんな、食べ物は全部つながっているということを、おもしろく表現したかったんです。

■いろいろなごはんを食べること

お話しの最後に男の子がごはんを食べます。ハンバーグにエビフライ、野菜。お肉、魚(エビ)があって、うさぎのえさと同じにんじんもある。

自分たちはいろいろなものを食べているし、動物と同じものも食べている、ということを表現したかったからです。

異世界に飛び込んでしまった男の子

■生きものにえさをあげるのが大すき

小さいときから、生きものを飼うのが好きです。小学校のころから今まで、ず~っと生きものを飼い続けていますね。

カマキリ、カブトムシ、クワガタ、チョウ、ゲンゴロウ、トカゲ、ヤモリ、カメ、金魚、ウサギ、ニワトリ、ハムスター…犬と猫以外はかなり飼っていますね。小学校一年生の時に使っていた水槽を、今も使っています。

小学校では六年間飼育係でした。

飼ってみて思ったのは、生きものはえさをあげないと死んでしまうということ。えさをあげなかったり、暑いところに置いていたりして、死んじゃったことも何度もありました。

でも飼い続けたのは、えさをあげるのが好きだったからですね。えさを食べている姿を見るのが好きでした。

公園なんかでもお小遣い全部使って、売っているえさを買ってあげたりしていました。

■食べ物を分け合う喜び

人はなぜペットを飼うのか、ということの答えをテレビで見たことがあります。縄文時代のころから、人は食べ物を分け合うのが好きだったからだというのです。みんなで狩りをし、みんなで分け合って食べる、というのが基本なんですね。

たとえば犬は番犬になったりしますが、猫は何にもしないけれど、飼われ続けていますよね。みんなで食べる、分け合うということが本能的に喜びになっているからだというのを聞いて、深く納得したことがあります。

だからぼくは、生きものを飼って、えさをあげるのが好きだったんだなあと感じました。

そんな喜びも感じてほしいですね。

取材・文/後藤千鶴子)

 

Profile・軽部武宏

1969年、東京都に生まれる。画家、絵本作家。主な絵本の作品に『いいないいなこのおうち』『いいないいなあのおうち』(ともに小学館)、『ちょうつがいきいきい』(加門七海・作、東雅夫・編、岩崎書店)、『まんげつのこどもたち』(イースト・プレス)、『大接近!妖怪図鑑』『大出現!精霊図鑑』(ともにあかね書房)ほか多数。『のっぺらぼう』(杉山亮・作 ポプラ社)で第16回日本絵本賞及び読者賞を受賞。『ばけバケツ』(「小峰書店」で第23回日本絵本賞受賞。

 

【絵本作家インタビュー】リスト

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