■『へんてこりんな地球図鑑』を書いたのは、「へんてこすごい」科学者だった!
「砂が貴重な資源になっている!?」「マグニチュード1のエネルギーは菓子パン1個分!?」--などなど、意外に知らない地球のお話が87話もつまった科学読み物、『へんてこりんな地球図鑑』。
実は著者の岩谷圭介さんは、「気球での宇宙旅行」実現を目ざす、世界が注目する科学者です。小学生も行けるというこの旅、いったいどんなものなのか!? 3回連続インタビューで聞いてみました!
第1回 気球に乗り、地上25㎞から宇宙をながめる!
第3回 初飛行は202×年!? お風呂に入って地球を見下ろせるかも!?
第1回 気球に乗り、地上25㎞から宇宙をながめる!
いまぼくは7人乗りの気球を地上2万5000m=25㎞の高さまで上げて宇宙を見に行く、「ふうせん宇宙旅行」を、2020年代前半での実現を目ざして計画しています。ぼく以外のだれもやっていないし、実現すればもちろん世界初になります。
宇宙は地上100㎞より上ですから、宇宙空間に出るわけではありません。しかし地上25㎞まで上がれば、真っ暗な闇の中に星がかがやく「宇宙」を見ることができます。そのながめは地上10㎞を飛ぶ航空機から見る「空」とはまったく別物です。
■地上30㎞からの宇宙撮影には100回以上成功!
気球でそんなことができるの? って思いますよね。ぼくは2012年に、小型気球にカメラを搭載して、地上30㎞から宇宙を撮影することに世界で初めて成功しました。その後も100回以上、この「ふうせん宇宙撮影」に成功しています。
この撮影を始めたばかりのときは、カメラなど約100gの装置しか上げられませんでした。しかしいまではその200倍、約20㎏の機材を飛ばしています。この「ふうせん宇宙撮影」の成功を重ねて、「人が気球に乗って宇宙旅行をすることもできるんじゃないか」と思ったんです。
「ふうせん宇宙旅行」ではこれよりはるかに重い、乗客など合計1トンを打ち上げるので、直径45mの気球が必要です。巨大ですが、これは技術的には十分作れる大きさです。いまはそれよりも小さい気球をいくつも作っては上げて、実験を繰り返しているところです。
■「地球の神秘」も感じられる「ふうせん宇宙旅行」
そうした実験を重ねていると、宇宙はもちろんですが「地球」の神秘を感じることに何度も出くわします。たとえば地上1万5000mでは気温って何℃だと思いますか?――真夏でも南極の冬並みのマイナス70℃以下です。
自分がくらす惑星について、「こんなにも知っているつもりで知らなかったことがあるのか」という驚きが、『へんてこりんな地球図鑑』を書いた動機の一つです。みなさんも「ふうせん宇宙旅行」に参加して飛んだら、きっと地球についていろいろな発見をすると思います。
次回はその「ふうせん宇宙旅行」が、ロケットなどを使った宇宙旅行よりもどれほど手軽で安全で楽しいかをお話ししましょう。
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岩谷圭介(いわや けいすけ)
1986年生まれ、福島県出身。2012年に日本で初めて風船による宇宙撮影を成功させた。講演や絵本、児童書執筆など、科学の楽しさを伝える活動も行う。著書に『へんてこりんな宇宙図鑑』『宇宙を撮りたい、風船で。』(キノブックス)、『うちゅうはきみのすぐそばに』(福音館書店)などがある。