■「ふうせん宇宙旅行」、ただいま準備中!
「砂が貴重な資源になっている!?」「マグニチュード1のエネルギーは菓子パン1個分!?」--などなど、意外に知らない地球のお話が87話もつまった科学読み物、『へんてこりんな地球図鑑』。
著者・岩谷圭介さんは「気球での宇宙旅行」の実現を目ざしています。3回連続インタビューの最終回では、「ふうせん宇宙旅行」はいまどのくらいの段階まで進んでいるかを語ってもらいました!
第3回 初飛行は202×年!? お風呂に入って地球を見下ろせるかも!?
第3回 初飛行は202×年!? お風呂に入って地球を見下ろせるかも!?
前回は「ふうせん宇宙旅行」の出発から帰還まで、そしてもっとも安全で手軽な宇宙旅行だということをお話ししました。
いまはその「安全性」を高めるために、さまざまなテストを行っているところです。例えば2018年6月には沖縄県の宮古島で特殊な水槽に魚を入れて高度25㎞まで打ち上げ、無事に、もちろん生きたまま帰還させることに成功しています。
ただしこのようなことは、実現までのほんの入り口でしかありません。さらに100回以上ものテスト飛行が必要でしょう。
というのも、安全性は当然ですが、打ち上げた気球がどこに帰ってくるかわからないようでは、だれも乗りたくないでしょう? 気球が大変なのは、着陸する地点が風などに左右されることです。
それでもカメラを打ち上げて宇宙を撮影する「ふうせん宇宙撮影」では、100回以上打ち上げた結果、どこに気球が帰ってくるのか、ほぼピンポイントでわかるようにまでなりました。
■安全な飛行のためにはさらに多くの実験が必要
しかし、乗客など7人を乗せた大きくて重い気球でも同じようにできるかどうか、それにはたくさんの実験をしてデータを取る必要があります。この「ふうせん宇宙旅行」では、帰還して着水する場所が、目標地点からどんなにずれても1㎞以内になるまでは、お客さんは乗せられないとぼくは思っています。
それでも「ふうせん宇宙旅行」は実現に向けて着実に進んでいます。順調ならば2022年ごろには、人を乗せての飛行試験を行います。
この宇宙旅行にはすでに多くの人が興味を持ってくれていて、将来的には20人乗りの、お風呂付きのキャビンを作ってほしいという声もあります――お風呂に入って地球を見下ろす「地球見風呂」体験も、気球でしかできません。
みなさんが大人になったころには実現しているかもしれないので、楽しみに待っていてください。
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岩谷圭介(いわや けいすけ)
1986年生まれ、福島県出身。2012年に日本で初めて風船による宇宙撮影を成功させた。講演や絵本、児童書執筆など、科学の楽しさを伝える活動も行う。著書に『へんてこりんな宇宙図鑑』『宇宙を撮りたい、風船で。』(キノブックス)、『うちゅうはきみのすぐそばに』(福音館書店)などがある。